14 ずいき祭 (7)













ずいき祭り。当塾エリアの地元の祭りで、10月1日〜3日までの3日にわたって開催される。

中3生にとって、文化祭、体育祭、合唱コンと中学生活に華を添えるには欠かせないイベント、一部の生徒にとっては、勉強しない言い訳として最大限利用されるイベントが続いたあと、このずいき祭りがトドメとなる。

失われた1ヶ月。頑張れる生徒とそうでない生徒の差が最も開く1ヶ月間となる。下手に過ごすと、生徒によっては、夏期講習の頑張りが一瞬でふいになる程のダメージがある。

そんな事は百も承知なので、9月以降は、怪しい中3生には毎日塾に来させるよう仕向けている。自然とそうなるのが理想なのだが、何名かは声かけによって実現されたというのが今年の現状である。

しかし、自習室を中3がようやく占拠したわけだが、その風景はやはり圧巻である。空気が違う。これまでは、中1、中2が占拠する率が高かったのだが、ようやく本来の主役が陣取るようになって、例年と同じ雰囲気が出てきたように感じている。

今年は中3の人数が少ないので、私自身にも余裕があり、中2生にも声をかけている。うち2名は強制的にもう1日通塾日を増やされ、うち1名は希望参加である。

自ら希望して参加を申し出たのは、最近入塾したばかりのH君である。先日も、当塾では初めてのテスト対策を迎えるので、定期テストにおける国語の少々面倒な勉強法をアドバイスしたところ、目をキラキラさせて、早速実践していた。私は、こういうめんどくさい方法でも、効果があると思えば実践できる生徒は、伸びると自信を持って言える。

よく『勉強の仕方が分からない』と平然と言ってのける生徒がいるが、『勉強方法』の前に(楽な)とか(手っ取り早い)とか(めんどくさくない)いう本音の枕詞を省略せずに言って欲しいものだ。

そんな魔法のような方法以外の勉強方法なら、授業を通じていくらでも言っている。ただ、それを実践しようとはしないので、結局『方法が分からない』と言ってるだけに過ぎないのである。

日々の学校生活においても、部活動、各種行事など、勉強以外にしないといけないことは山ほどある。それを否定する気は毛頭ない。

それどころか、合唱コンの前説で『はじめは男子が全然練習しなく険悪なムードになり、クラスがばらばらになりかけた時にA君が、『みんなやろうぜ!』と男子を説得してくれて、それから徐々にみんなの気持ちが1つとなって・・・・』というくだりは、ベタだけど大好きで、以前の塾では合唱コンを毎年聞きに行っていたくらいである。

私自身、部活動、各種行事もそりゃ頑張って欲しいというのが本音である。しかし、勉強を頑張っていない奴に限って、イベントになったら、急にクラス愛を発揮し、それを理由に勉強しなくなるケースが顕著なので、文句の1つも言いたくなるのである。

ただ、勉強が苦手な生徒にとっては、勉強以外の場こそ自身が存在を示せる場であり、個が個であるためには必要なことは理解しているつもりだ。美術や音楽の時間だってそういう側面はある。「受験に要らない」ではない。絵の上手な子にとって、美術の時間はヒーローになれる時間でもあるのだ。しかし、残念ながら、そのイベントを勉強しないことへの理由や言い訳に使うことが出来ないことを理解して欲しいのである。

ずいき祭りに行くなとは決して言わない。もちろん、行けとも絶対に言わないが。ただ、中1のIさんは、ずいき祭りに行く前の友達との待ち合わせまでの時間、塾で勉強してから行った。その後、1時間ほどで戻ってきて、また塾で勉強していた。定期テスト前だから、当然の行動だと思う。

中3のF君も、わざわざ私にずいき祭りへの参加の許可を求めてきた。その代わりとして、その時間まで夜の自習の分をするからと言って。(それが出来るなら、普段も夜だけでなく、夕方も来れるじゃん)という突っ込みは敢えて言わなかったが。

本日土曜も、配布した予定表には自習は午前10時からと記載したので、午前8時45分頃に出勤したところ、ばったりとTさんと出会った。ちょうど塾に勉強しに来たところ開いてなかったので、帰るところだったらしい。

(いや、休日の8時45分に開いてる塾なんて、近所ではうちくらいですよ)と心の中で思いつつ、『なぜ、そんなに早く来たの?』と聞くと、『テスト前だけどクラブの試合があって、午後は自習に参加できないので、その分早く来て勉強したかった』とのこと。

前日に私に伝えなかった彼女のミスであるし、ある意味自分勝手な主張でもあるが、部活のマイナスをきちんと補おうとするその姿勢が、私は嬉しかった。

『運が良かったな、ここで会えて。1分ずれてたら、無駄足になる所やったで。』と言って、カギを開け招き入れた。その後、彼女は部活開始のギリギリの時間まで勉強していた。

部活動があろうとも、イベントがあろうとも、諸事情があろうとも、どんな環境でも、やる子はやるし、やらない子はやらないだけである。

『部活があるから・・・』『○○があるから・・・』うん、それは分かるよ。でも、なんでそれが勉強しないことの理由になるのかが分からないだけ。しかも、それ、好きでやっているんだよね?と言いたい。

工夫してやっている子達を大勢見てきている。だから、簡単に言い訳したり、あきらめたりする行為は、どうかと思ってしまうのだ。

もちろん、『うつ』『発達障害』など、最近でこそ一般にも理解されるようになってきた症状への理解は不可欠であり、何でもかんでも、私の言うところの『根性や、やる気の問題』と簡単に片付けてしまうわけにはいかない事も重々承知している。

しかし、健全な子がそれを隠れ蓑に使うのが困るわけで・・・

生徒諸君におかれましては、「勉強する気はあるんだけど、どうしても身体が言うこと聞かない」のか「単にやる気がない」のか、その違いを明確にして伝えること。

怒られないために、様々な耳障りの良い言葉をくっつけて自分をごまかそうとすることは、自分だけでなく周囲の人も不幸にする。

まあ、とにかく私としては、一番損をするのは自分自身であり、楽をしたらした分だけ、いつか自身にはねかえってくることがあるという事だけは伝えていきたい。一生ごまかし続けることなんて不可能なのだから。

追伸
私も最終日のお昼間に、ふらりと、それほど生徒を虜にする「ずいき祭」とやらをのぞいてみた。さすがに昼間なのと悪天候の影響か、店もほとんどやってなく、焼きそばかたこ焼きが欲しかったのだが、あきらめて帰塾・・・でも、近くにこんな商店街があったなんて知らなかった。それが唯一の収穫であった。

14 ずいき祭 (12)